音声よみあげ

配色変更

文字サイズ

  • 標準
  • 拡大

医療コラム

  1. HOME
  2. お知らせ一覧
  3. 医療コラム
  4. No.2 パニック症
2021.03.03 医療コラム

No.2 パニック症

パニック症の方は、すでにいろいろな科を受診され、特に問題が見つからず、最終的に、精神科や心療内科にいらっしゃることが多いです。症状としては、突然おそってくる動悸や発汗、息苦しさと「このまま死んでしまうのではないか」「どうにかなってしまうのではないか」といった強い恐怖感・不安感を伴う、パニック発作を特徴とします。発作を繰り返すうちに、また同じような発作がおこるのではないかという不安(予期不安(よきふあん)といいます)から、発作がおこった状況や場所に行けなくなり日常生活に支障をきたすこともあります。

身体的に問題がないということは重要で、動悸や発汗、息苦しさは、心筋梗塞のような心臓の病気や喘息のような呼吸器の病気、脳梗塞のような脳血管の病気でもおこりえますので、なにかこれまでに病気をお持ちの方や、これまでに持病がなくはじめてこのような症状を経験された方は、身体の病気から来ていないか調べる必要があるでしょう。身体の病気とは関係なく、同じような症状を繰り返す場合、パニック症の可能性が高いです。

DSM-5では、『パニック発作とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる。

  1. 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加

  2. 発汗

  3. 身震いまたは震え

  4. 息切れ感または息苦しさ

  5. 窒息感

  6. 胸痛または胸部の不快感

  7. 嘔気または腹部の不快感

  8. めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ

  9. 寒気または熱感

  10. 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)

  11. 現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)

  12. 抑制力を失うまたは“どうかなってしまう”ことに対する恐怖

  13. 死ぬことに対する恐怖 』

とされます。

 

ひとくちにパニック発作といっても多彩な身体症状、精神症状を呈することがわかります。2回以上パニック発作があり、次の発作が起こることへの予期不安や発作の結果に対する不安(心臓発作がおこるのではないか、どうにかなってしまうのではないかなど)あるいは、発作に関連した行動の変化(運動や不慣れな場所を避けるなど)が1ヶ月以上続く場合にはパニック症と診断します。パニック発作がおこった場所(公共の交通機関、広い場所など)や状況(人混み、閉鎖的な空間など)などを避ける広場恐怖を伴うことも多いです。社交不安症の発症年齢は思春期から青年期が多いですが、パニック症はそれより少し年齢が高くなってから発症することが多いです。約半分の方がうつ病を併存していると言われており、併存している方の4割がパニック症のあとにうつ病を発症しますが、6割の方は同時あるいはうつ病のあとにパニック症を発症します。純粋にパニック症だけの方も多いですが、うつ病がかくれていないか検討することも重要となっています。