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医療コラム

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2021.03.03 医療コラム

No.1 社会不安症

社交不安症は、古くは対人恐怖症と言わzれていた病気がほぼあてはまります。人前に立つとき、多かれ少なかれ誰でも緊張しますが、それが過度だと、人前に立つと考えただけでも不安で具合が悪くなります。そうこうするうちに、できるだけ人前に立つのを避けるようになったりします。あるいは、自分の仕草や服装を気にするのは悪いことではありませんが、気になりすぎると、みんなに自分の仕草や服装を馬鹿にされるのではないかと気になり、身支度に過度に時間がかかってしまったり、注目を浴びるのでないかと心配して顔を上げることもできず、おどおどして過ごしたりする人もいます。

 

国際的な診断基準(DSM-5)では、主な症状として以下の症状をあげています。
A.他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する,著しい恐怖または不安.例として,社交的なやり取り(例:雑談すること,よく知らない人に会うこと),見られること(例:食べたり飲んだりすること),他者の前で何らかの動作をすること(例:談話をすること)が含まれる.
B.その人は,ある振る舞いをするか,または不安症状を見せることが,否定的な評価を受けることになると恐れている(すなわち,恥をかいたり恥ずかしい思いをするだろう,拒絶されたり,他者の迷惑になるだろう).
C.その社交的状況はほとんど常に恐怖または不安を誘発する.
D.その社交的状況は回避され,または,強い恐怖または不安を感じながら耐え忍ばれる.

 

軽いものであれば、同じような恐怖や不安を感じることは誰にでもあることでしょうが、あまりにも恐怖や不安が強いと社会生活に支障をきたすことになります。
どれくらいの方がこのような症状に苦しんでいらっしゃるのか、報告にもよりますが、生涯有病率(調査時点までに診断基準を満たしたことがある人の割合)で2~12%と報告されています。これはうつ病の7~8%と比較してもかなり高い率です。しかし、実際にはうつ病の方とくらべて半分ほどの方しか医療機関に相談されていないのが実情です。
社交不安症の方がうつ病になる確率は、社交不安症でない方とくらべて約3倍と言われており、順番としては先に社交不安症があって、その後うつ病になる方が多いですので、社交不安症に対処することでうつ病を予防できる可能性があります。